8.2 Windows へのインストールと初期設定
ここでは、VPN Client を Windows 2000 以降の Windows
オペレーティングシステムにインストールする際の、操作方法について解説しています。なお、Windows
オペレーティングシステムの状態は、システムをクリーンインストールした直後の余分なアプリケーションソフトウェアなどが一切インストールされていない状態を仮定しています。
8.2.1 インストーラによるインストール作業
インストール用ファイルの準備
Windows 版の VPN Client
のインストール作業は、ほぼすべてインストーラによって自動的に行うことができるため、とても簡単です。VPN Client をインストールするには、VPN
Client の Windows 用インストーラファイルを、以下のいずれかの方法で入手してください。
- PacketiX VPN Server 3.0 を製品として購入した場合は、VPN Client が同梱された CD-ROM が配布されています。CD-ROM
をコンピュータの CD-ROM ドライブに挿入し、Windows 用の VPN Client インストール用実行可能ファイルを選択して起動してください。
- ソフトイーサ株式会社の Web サイト (http://www.softether.com/)
から、最新版の VPN Client のインストールファイルをダウンロードすることもできます。CD-ROM
をお持ちの場合でも、より新しいバージョンの VPN Client が Web サイト上で提供されている可能性がありますので、上記 Web
サイトをチェックしていただくことを推奨します。なお、PacketiX VPN 3.0
取り扱いパートナーとの間で保守契約を結んでいる場合は、新しいバージョンをインストールしても良いかどうかについて、事前にパートナーの担当者にご確認ください。
- PacketiX VPN 3.0 取り扱いパートナーから、CD-ROM または電子的なファイルとして最新バージョンの VPN
Server を受け取っている場合は、それを使用してインストールを行ってください。
VPN Client の Windows 用インストーラファイルは、「vpnclient-ビルド番号-win32-x86.exe」のような名前の実行可能ファイルです。ちなみに、本マニュアル執筆時の最新ビルドのインストーラファイル名は
「vpnclient-5070-rtm-win32-x86.exe」です。
図8-2-1 VPN Client インストーラ |
インストーラの起動
VPN Client のインストールファイルを、ダブルクリックするなどして起動すると、自動的に Windows Installer
ベースのインストーラが起動します。このインストールウィザードでは、インストール先のディレクトリ名を選択することができます
(デフォルトでは、システムドライブの「Program Files\PacketiX VPN Client/」にインストールされます)。
図8-2-2 VPN Client インストール先 |
なお、インストール時に「使用権許諾契約書」が画面上に表示される場合があります。この場合は表示される契約書の内容をよくお読みいただき、同意される場合はインストールを継続してください。
図8-2-3 VPN Client 使用権許諾契約書 |
インストーラは、自動的に PacketiX VPN Client システムサービスを登録し、Windows
の起動時に、自動的に「バックグラウンドモード」で起動するように設定します。なお、インストール直後は「仮想 LAN カード」は 1
枚も作成されていない状態ですので、仮想 LAN カードを追加する必要があります。仮想 LAN カードの作成方法に関しては 「8.2.6 仮想 LAN カードの作成」
を参照してください。
8.2.2 TCP/IP 通信設定の最適化について
VPN Client のインストール中に、TCP/IP 通信の最適化に関する画面が表示される場合があります。この画面のデフォルトの選択肢は
[最適化は行わない] になっています。
図8-2-4 TCP/IP 通信設定の最適化 |
この TCP/IP 通信設定の最適化画面で [通信設定を自動的に最適化する] を選択したり、[TCP/IP
最適化ユーティリティを使用して手動で最適化する] を選択したりすることによって、Windows の TCP/IP パラメータを調整して、TCP/IP を使用した通信速度を向上させることができる場合があります。
図8-2-5 TCP/IP 通信設定の変更 |
TCP/IP 通信設定の最適化機能によって、以下のようなことが行われます。
- 「ウインドウスケーリングオプション」を使用することにより 64 Kbytes を超える TCP/IP
送信ウインドウバッファ、および受信ウインドウバッファを使用して、帯域幅の広い回線上で通信速度を向上させることができます。
- Windows の AFD サービスのバッファサイズが、高速通信に適した値に書き換えられます。
ただし、TCP/IP
のウインドウスケーリングオプションを有効にすることにより、一部の透過型プロキシのようなファイアウォール機器を経由した通信が不安定になったり、全く通信できなくなるといった症状が報告されています。このような症状は
、特にネットワーク上にあるファイアウォール機器などがウインドウスケーリングオプションに対応していない古いバージョンである場合などに発生するようです。したがって、もしTCP/IP
通信設定の最適化を行った後、そのコンピュータの TCP/IP 通信が不安定になってしまった場合は、後から TCP/IP
通信設定の最適化項目を元に戻すことができます。一度 TCP/IP 通信を最適化した後、元に戻す
(オペレーティングシステムのデフォルト値を使用するようにする) には、[スタート] メニューに登録される [PacketiX VPN
Client] から [TCP 通信設定最適化ユーティリティ] をクリックして起動し、[TCP 受信ウインドウサイズ] および [TCP
送信ウインドウサイズ] の値を [OS のデフォルト値を使用する] に変更してみてください。
図8-2-6 TCP/IP 通信設定をオペレーティングシステムのデフォルト値に戻す |
8.2.3 インストール後の注意事項
Windows 版の VPN Client のインストールが完了すると、「PacketiX VPN Client サービス」は、すでに
Windows
システム上で「バックグラウンド」で動作しています。通常インストール後はコンピュータの再起動は不要ですが、もし再起動を促す画面がインストーラによって表示された場合は
、コンピュータを再起動してください。
なお、VPN Client のインストーラによって、「PacketiX VPN Client サービス」が正しく Windows
システムにインストールされているかどうかを確認するには、[コントロールパネル] の [管理ツール] から [サービス]
を起動し、表示されるサービス一覧の中に [PacketiX VPN Client] が表示されているかどうかを確認します。
8.2.4 VPN クライアント接続マネージャでの操作
VPN Client のインストールが完了した後は、VPN Client に対するすべての操作は「PacketiX VPN クライアント
接続マネージャ」を使用して行います。VPN クライアント接続マネージャによる VPN Client の具体的な使用方法に関しては、「第4章 PacketiX VPN Client 3.0 マニュアル」
を参照してください。
8.2.5 vpncmd での操作
VPN Client をコマンドラインベースの「vpncmd」ソフトウェアによって制御することもできます。vpncmd の詳しい使い方については 「第6章 コマンドライン管理ユーティリティマニュアル」 を
参照してください。
たとえば、指定した時刻になると、特定の接続設定の接続を開始し、その後、自動的にその接続設定を切断するといったような操作を vpncmd
と既存のスケジュールソフトウェアなどを組み合わせて実現することができます。
なお、ソフトイーサ株式会社は、VPN Client の制御にはできるだけ「VPN クライアント接続マネージャ」を使用して行ない、vpncmd
は単調な繰り返し作業の自動化などのための、補助的な管理ユーティリティとして使用することを推奨しています。
8.2.6 仮想 LAN カードの作成
VPN Client を使用する上で、最初に行う必要があるのは、「仮想 LAN カード」の新規作成です。「仮想 LAN
カード」の作成方法に関しては、「4.3.2 仮想 LAN カードの作成と設定」 を参照してください。仮想 LAN
カードが登録されていない場合は、接続設定を定義することができません。
8.2.7 仮想 LAN カードの設定
「仮想 LAN カード」を作成した後、その仮想 LAN カードを適切に設定する必要がある場合があります。このような場合は、接続先 VPN
Server の管理者から、事前に仮想 LAN カードの設定方法について指示を受けているはずですので、その指示内容に従って仮想 LAN
カードの設定を行ってください。
特に接続先の仮想 HUB のレイヤ 2 セグメント上で、DHCP サーバーが動作していないような場合は、仮想 LAN カードの IP
アドレスをクライアントコンピュータ側で手動で設定する必要があります。
8.2.8 接続設定の作成
仮想 LAN カードを作成したら、接続先の VPN Server の仮想 HUB に対する接続設定を作成して VPN
接続を試行してみてください。この際に入力する必要がある設定項目についても、VPN Server の管理者による指示に従ってください。また、VPN
Client
を動作させるクライアントコンピュータが接続されているローカルネットワークの構成に合わせて接続する方法を調整してください。VPN Client の詳しい操作方法については、「第4章 PacketiX VPN Client 3.0 マニュアル」
を参照してください。
すべての設定が完了したら、接続設定に対して接続を行い、VPN 通信を利用してください。
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