B フレッツ等のブロードバンド回線との比較
HardEther 専用線サービスを、安価に 2 拠点を接続することができる B フレッツ等を用いた VPN
と比較したところ、以下に挙げられるように、HardEther 専用線サービスには大きなメリットがあることがわかります。
1. B フレッツと HardEther との遅延時間の比較 (実測値)
同一市内の 2 拠点を、B フレッツを用いた VPN (「B フレッツ VPN」といいます。) と HardEther
専用線の両方を用いて遅延時間 (一方からパケットが送信されてから、もう一方で受信するまでにかかる時間)
を実際に測定し比較したところ、以下のグラフのようになりました。
このように、B フレッツで同一市内の 2 箇所を接続すると、最低でも 1 ミリ秒以上の遅延が生じることが多くあります。しかし、HardEther
専用線であれば、近距離の遅延は 0.067 ミリ秒のように、非常に短くなることがわかります。この差は、おおよそ 26 倍以上あります。
なお、遅延時間を 1 ミリ秒以下に保つことは、以下のリンク先で示すように、非常に重要なメリットがあります。
2. B フレッツと HardEther とのスループット (通信速度) の比較 (実測値)
同一市内の 2 拠点を、B フレッツ VPN と HardEther 専用線の両方を用いてスループット (通信速度)
を実際に測定し比較したところ、以下のグラフのようになりました。
上記の実験では、B フレッツ VPN はおおよそ最大スループットは 70 Mbps 程度出るものの、FTP
プロトコルを用いる場合のファイル転送では 41.5 Mbps 程度、Windows ファイル共有プロトコル (SMB, CIFS)
を用いる場合のファイル転送では 27.4 Mbps しか出ませんでした。 これと比較し、HardEther
専用線の場合は最大スループットは 979.5 Mbps 程度出ました。FTP プロトコルを用いる場合のファイル転送では 818.1
Mbps 程度、Windows ファイル共有プロトコル (SMB, CIFS) を用いる場合のファイル転送では 476.2 Mbps
が出ました。 上記のように、B フレッツ VPN を用いた場合は、ファイルサーバー等へのアクセスの速度が非常に低下しますが、HardEther
専用線を用いた場合は、ほとんど LAN の内部と同等の速度でファイルへのアクセスができることがわかります。
参考: スループット (通信速度) の計測方法
2 台の Windows Server 2003 Standard Edition 32 bit 版をインストールしたコンピュータ
(RAM は 2Gbytes 以上、CPU は Intel DualCore 2.0GHz)
を用いて、以下のように測定しました。なお、ウインドウサイズによる影響を避けるため、TCP 受信ウインドウサイズは 5,955,584
bytes に設定しました。
- 「TCP/IP 最大結果」の測定方法
TrafficServer / TrafficClient プログラムにより測定しました。
ただし、方向は一方項とし、TCP コネクション数は 32 本、測定時間は約 60 秒としました。
- 「FTP」の測定方法
1 台の PC に FTP サーバー (IIS 6.0) をインストールし、もう 1 台の PC の FTP クライアント (wget
コマンド) を用いて 1 Gbytes
のファイルをダウンロードし、それにかかる時間を測定しました。ただし、ディスクアクセスによる影響を最小限にするため、データ内容全体がキャッシュに入ることを確認し、3
回同一ファイルを転送して最短の結果を採用しました。
- 「Windows ファイル共有」の測定方法
1 台の PC でファイル共有を設定し、もう 1 台の PC から copy コマンドを用いて 1 Gbytes
のファイルをコピーし、それにかかる時間を測定しました。ディスクキャッシュに関する事項は、FTP の場合と同一です。
3. サービスレベルの比較
B フレッツと HardEther とのサービスレベルを比較してみます。
- B フレッツはベストエフォートの共有網、SLA の規定なし
B フレッツサービスはベストエフォートサービスであり、スループットや遅延、パケットロス率などに関する SLA
条件が規定されていません。
また、B
フレッツの回線は複数のユーザーで回線を共有する共有網となっており、あるユーザーが大量の通信を行った場合、他のユーザーの通信速度が低下したり、パケットロスが発生したりしてしまいます。
- HardEther は 800 Mbps の高スループット・低遅延を保証、SLA 制度あり
HardEther 専用線サービスは、専用線ということもあり、スループット・遅延・パケットロス率に関する
SLA (サービス品質保証制度) が設定されています。15
分間以上、回線品質が低下または通信断となった場合、月額料金を元に計算した金額と同額または 2
倍の金額を、損害賠償金としてお支払いいたします。
4. 接続方式の比較
B フレッツと HardEther との接続方式を比較してみます。
- B フレッツで拠点間接続するためには別途 VPN が必要
B フレッツは本来、ISP までの間のアクセス回線を提供するサービスです。B フレッツを用いて 2
拠点間をレイヤ 2 で VPN 接続するためには、別途 VPN ソフトウェアや VPN
ハードウェアが必要となります。VPN 装置等によるスループットの低下や遅延の発生も避けられません。
- HardEther はイーサネットで 2 拠点間を直接接続
HardEther 専用線サービスは、2 拠点間を高速・低遅延に接続するサービスです。お客様は、回線終端装置に
LAN ケーブルを差し込むだけで、相手方拠点との間で接続が完了します。VPN
等の装置を設置する必要はありません。
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